「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」と信じる覚悟はあるか?2013年06月01日 19時17分24秒



「ASICS(アシックス)」という社名は、
「アニマ・サーナ・イン・コルポレ・サーノ」
(健全なる精神は健全なる肉体に宿るの意)
というラテン語の頭文字をとったというのは、有名な話である。

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先日、某テレビ番組にアシックスの尾山社長が出演していた。
番組では、世界に挑み続けるアシックスの現在と、
創業者・鬼塚喜八郎(おにつか・きはちろう)さんの話が紹介された。

鬼塚さんは「私心がないから皆が活きる」という自伝を残されている。
そこには、戦後の焼け野原から裸一貫で立ち上がり、
世界のアシックスを築きあげた鬼塚さんの苦労が綴られている。

(日本実業出版社・昭和62発行・絶版)

終戦の虚脱感や虚無感から人々はまだ立ちあがれないでいた。
巷(ちまた)に見えるのは、
法律違反のヤミ商売に血眼になっている大人たちや、
行き場もなくガード下をうろついている子供たちの姿。
荒廃した世相を目の当たりにして、鬼塚さんは思う。

「オレは微力ながら、こんな連中に夢を与える仕事、
 一緒に人生を切り拓き、
 次代を担うにふさわしい社会人に育て上げる、
 そんな仕事がしたい」

今、青少年に必要なものは何か?
これからの新しい社会人に必要不可欠なものは何か?
それは「スポーツマンシップ」だという結論に鬼塚さんは至る。
そして、「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」という理念を胸に、
鬼塚さんはスポーツシューズの製造販売に乗り出していく。

鬼塚さんは自ら作ったシューズをかばんに詰め込み、
日本中の小売店を歩き回っては、販売網を拡大した。
地方で宿泊するお金がない時は、
そのかばんを枕にして駅のホームで寝ることもあったという。

「世界のアシックス」は、こんな風にはじまったのだ。

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鬼塚さんの自伝を読むにつけ強く感じるのは、
「スポーツの可能性」を深く信じておられたということだ。
スポーツを通して人は学び、成長することができる。
そして「スポーツマンシップ」を身に付けた者こそが、
やがて主体となって成熟した社会を築きあげるだろう。
そんな熱い・アツい確信が伝わってくるようである。

「スポーツマンシップ」という言葉は、あまり聞かなくなった。
もちろん時代によって人々の心をとらえる言葉は変わるから、
言葉自体が廃(すた)れてしまうことに不思議はない。

けれど、「スポーツマンシップ」という言葉が表現していた心のありようは、
私たちのどこかに受け継がれているのだろうか?
私たちは今も、「スポーツの可能性」を信じることができるのか?

スポーツ業界にいる私たちは、そんな風に、己の覚悟を問うてみてもいい。


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