彼は左腕を空に突き上げてゴールし、スタンドに向かって「どうだ!」と叫んだ、ように見えた。~R太郎くん伝説2016夏編(その1)2016年07月28日 19時20分08秒

2016年6月19日、日曜日。神戸ユニバー記念陸上競技場。
近畿インターハイ、男子800m決勝のレース。
彼は第2レーンのスタートラインに立っていた。
この勝負に勝てば、彼は全国インターハイに進出できる。

前日に行われた男子800mの予選を彼は組1位で通過した。
つづく準決勝のレースは7名×3組=21名の選手で争われた。
決勝のレースに進めるのは、
・1位と2位の選手×3組=6名
・3位以下の選手からタイム順で拾われる2名
との計8名のみ。
彼は準決勝を自己ベスト記録の1分54秒で力走した。
が、組運が悪く、3位でのゴールになってしまった。
決勝への進出は危うくなった。
全国インターハイへの夢も消えたかに思えた。
しかし、準決勝のすべてのレースが終わった後、
彼はタイム順で拾われる2名の選手のうちの
「最後のひとり」として奇跡的に生き残った。
彼も、彼を応援する周囲の人たちも
薄氷を踏むような思いをしたが、
どうあれ彼は今日の決勝の舞台へとすべりこんだのだった。

彼がこの決勝のレースで最もインコースの、
最も走りにくい第2レーンをあてがわれたのは、
(スタート時には第1レーンは使用されない)
彼がタイム順で拾われた「最も遅い」選手だったからだ。
しかし、そんな不利な条件の下でも、
彼は不思議なくらいに落ち着いていた。
自分の走りをするしかないと、心に決めていた。

さて。

彼のこの決勝のレースは、動画サイトで見ることができる。

――レース序盤、前方の選手に阻まれて彼の姿は一度最後尾に消える。
中盤、彼はアウトコースから一気に前に出ようとするが、そんな彼の走りに呼応して、すべての選手が抜きつ抜かれつのデッドヒートをはじめる。彼の順位も3~6位あたりを上がったり下がったりを繰り返す。
わからない。勝負はわからない。
しかし、最終コーナーを抜けた時、彼の姿は3番目に現れた。
最後の力をふりしぼり、死力を尽くして走り抜く。
そのまま、なんと3位でゴール。
その瞬間、彼は思わず左腕を空に突き上げていた。
そして、満面の笑みをたたえながら、スタンドに向かって両手を広げ、

「どうだ!」

と、得意気に叫んだ。

――かのように、その動画では見える。

ちなみに彼の決勝のタイムは1分52秒86。
前日の準決勝の自己ベスト1分54秒28から、
2秒近くも記録を更新してのゴールだった。

彼が走れば何かが起こる。
彼の名はR太郎くん。
今年の夏、ついに全国インターハイに出場します。

(つづきます)

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