3年目の陸上部の話。2012年07月23日 13時20分01秒

陽が傾きはじめている。
放課後のグラウンドは、時間がゆっくりと流れて感じる。

新入生のみんなとスパイクシューズのサイズ合わせが終わって、
帰り支度をはじめた頃、H先生が話しかけてこられた。

「やっと、3年目です。ちょっとは、陸上部らしくなってきたでしょ?」

★☆★☆★☆★☆

H先生がこの中学校に赴任されたのは5年前。
陸上部はなかった。
いや、陸上競技どころではなかったのだそうだ。

少年たちは、少女たちは、求めている。
自分の居場所を。
自分を受け止めてくれる大人を。
そして、彼らは問うている。
ここは、ボクの居場所なのか?
あなたは、ワタシを受け止めてくれる大人なのか?

彼らは、その「問い」を、様々なかたちで投げかけてくる。
時には“体”をぶつけながら、激しく「問い」を突きつけてくる。
H先生の体には、生傷が絶えない。
それでも、彼らに向き合う。
彼らの「問い」を、心と体のぜんぶで、真正面から受け止める。

学校の中でも、外でも、問題が頻発する。
生徒指導に明け暮れる日々が嵐のように過ぎ去っていく。

そんな状況の中でもH先生は、
陸上競技の楽しさをみんなに教えてあげたくて、クラブを立ち上げられた。
3年前、部員7名からのスタートだった。

★☆★☆★☆★☆

「キャプテン!そろそろ終わり!」
先生の声がグラウンドに響く。
「はい!」
元気な声がかえってくる。
陸上部のみんなは、上級生も下級生も一緒になって、クールダウンのジョグをはじめた。
どこの学校にもある、「普通」のクラブ活動の風景に見える。

「先生、もう、『普通』に、陸上部ですね」
「ありがとうございます。まだまだですけど、ね」

でも、この「普通」に見える風景は、決して「当たり前」なんかじゃない。

H先生の体に今も刻印され続ける、生徒たちとの格闘の日々。
それらの傷跡は、彼らの「問い」に対する、H先生の「証明」なのだと思う。


※2012年のスパイクセットセールは、7月21日をもって終了いたしました。
お申し込みいただいた学校数は、過去最高となりました。
ご協力いただいた先生方には深く感謝し、厚く御礼申し上げます。
大変にありがとうございました。

そして、今年も新たに出会った少年たちよ!少女たちよ!
陸上競技は、すばらしい。


スパイクセットセール2012




コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://sunwards.asablo.jp/blog/2012/06/03/6467019/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。



オリンピアサンワーズのブログは引っ越しました。

新しいブログはこちらです。↓

https://olympiasunwards.com/shop-information/blog/