人生に闘い挑む号砲よ、ふたたび鳴り響け！: オリンピアサンワーズのblog【2005-2017】

Yさんが、短距離用のスパイクシューズを買いに、
久しぶりにオリンピアサンワーズへご来店された。

Yさんは、40代。
現役で陸上競技を続けているのには、理由がある。

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Yさんは、昔から、毎日、
たくさんの種類の薬を飲まなければならなかった。

脳性小児麻痺だった体は常に緊張し、
筋肉は引っ張られつづけている。
「力を抜く」という感覚が、どんなものかわからない。
緊張しつづけている体を動かすのは苦労が多い。
だから、行動することに消極的になる。
すると、筋肉も身体的な機能もどんどん衰えていく。
身体が衰えていくと、投与する薬がまた増える。
そうやって、薬の量はどんどん増えていってしまう。

このままでは、薬漬けの人生になってしまう・・・。

Yさんは決断した。
これ以上薬を増やしたくない。
体を鍛えよう。
自分の体は自分で守るしかない。

Yさんは、生き抜くために、陸上競技を選んだのだ。

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Yさんはその後、パラリンピックの強化選手にもなった。
Yさんの活躍は、新聞でも取り上げられたりした。

しかし、ここ数年は競技を続けることができなくなった。
障害がまた別の障害を体に引き起こす“二次障害”に悩まされている。
新たな病気も発症した。

でもYさんはまた、トラックに帰ってきた。

第13回全国障害者スポーツ大会は、
10月12～14日、味の素スタジアムで開催される。

Yさんは、陸上競技100ｍに出場する。
スタートラインに立つYさんの足もとには、
真新しいスパイクシューズが光っているはずだ。
そして、
Yさんがスターティングブロックを蹴り上げる時、
ピストルの号砲は、
Yさんが人生に闘い挑む合図として、ふたたび鳴り響く――。