彼はなぜ、走るのをやめなかったのか。~Are You Ready? 2015(106) ― 2015年04月04日 19時00分15秒
マラソン・ランニングに挑戦するみなさんを勝手にワイワイ応援ブログ
「Are You Ready?2014-2015」
第106回目は、あるランナーとフルマラソンの話。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆
・2006年 2時間38分42秒
・2007年 2時間36分23秒
・2010年 2時間34分13秒
・2012年 2時間40分22秒
このようなタイムで走ることこそが、
彼にとっての「フルマラソン」だ。
ひとたび42.195kmのスタートを切ったとしても、
「完走」することは彼の「目的」にはならないし、
3時間以上かかる記録を残しても彼には意味がない。
だから、記録を狙えないと判断すれば、
レースの途中で棄権することも厭(いと)わない。
そんな彼だが、ここ数年はフルマラソンを走らなかった。
フルマラソンへの出場を見合わせていたのは、
彼にとっての「フルマラソン」が実現できないことを、
彼自身がよくわかっていたからだ。
自分が望む記録で走るためには、
どれほどまでにカラダを仕上げなければならないのか?
それを知っていた彼は、
自分自身に42.195kmへの出走を許可できなかったのだ。
しかし、そうは言っても、その頃の彼は、
ハーフマラソンを走れば70分台でゴールするのだった。
昨年の秋。
彼からフルマラソンに復帰する意気込みを聞いた。
彼がマラソンのロードに帰ってくる!
それは、とてもうれしく、楽しみなことだった。
年齢を重ねた彼はどんな走りをするのだろう。
数年ぶりの42.195kmが彼にはどんな景色に映るのだろう。
レースが終わったら、彼に色んなことを聞きたいと思った。
秋から冬にかけて、彼の練習は順調そのものだった。
11月の実業団駅伝では11kmを37分30秒で激走した。
カラダはこれまでにないくらいに仕上がってきていた。
このまま調子をあげていけば、彼は、
彼にとっての「フルマラソン」をふたたび実現するだろう。
勝負のレースは2か月半後の2015年2月1日と決まっていた。
彼がスタートラインに立つ日を心待ちにした。
2015年が明けてすぐ、彼は店にやってきた。
年末年始、インフルエンザで寝込んでしまった、
それが不安材料ではあるが、
レースまでの一か月でなんとか調子を戻すつもりだ、
そう彼は言っていた。
百戦錬磨の彼のことだから、レース当日までには、
100%ではなくても可能な限りの
コンディションにまで仕上げてくれるだろう、
そう思っていた。
あの日。
彼が42.195kmのゴールにたどり着いた時、
記録を示すタイマーは「3時間」を「16分」越えていた。
彼は――なぜ、走るのをやめなかったのだろう?
(つづきます)
「Are You Ready?2014-2015」
第106回目は、あるランナーとフルマラソンの話。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆
・2006年 2時間38分42秒
・2007年 2時間36分23秒
・2010年 2時間34分13秒
・2012年 2時間40分22秒
このようなタイムで走ることこそが、
彼にとっての「フルマラソン」だ。
ひとたび42.195kmのスタートを切ったとしても、
「完走」することは彼の「目的」にはならないし、
3時間以上かかる記録を残しても彼には意味がない。
だから、記録を狙えないと判断すれば、
レースの途中で棄権することも厭(いと)わない。
そんな彼だが、ここ数年はフルマラソンを走らなかった。
フルマラソンへの出場を見合わせていたのは、
彼にとっての「フルマラソン」が実現できないことを、
彼自身がよくわかっていたからだ。
自分が望む記録で走るためには、
どれほどまでにカラダを仕上げなければならないのか?
それを知っていた彼は、
自分自身に42.195kmへの出走を許可できなかったのだ。
しかし、そうは言っても、その頃の彼は、
ハーフマラソンを走れば70分台でゴールするのだった。
昨年の秋。
彼からフルマラソンに復帰する意気込みを聞いた。
彼がマラソンのロードに帰ってくる!
それは、とてもうれしく、楽しみなことだった。
年齢を重ねた彼はどんな走りをするのだろう。
数年ぶりの42.195kmが彼にはどんな景色に映るのだろう。
レースが終わったら、彼に色んなことを聞きたいと思った。
秋から冬にかけて、彼の練習は順調そのものだった。
11月の実業団駅伝では11kmを37分30秒で激走した。
カラダはこれまでにないくらいに仕上がってきていた。
このまま調子をあげていけば、彼は、
彼にとっての「フルマラソン」をふたたび実現するだろう。
勝負のレースは2か月半後の2015年2月1日と決まっていた。
彼がスタートラインに立つ日を心待ちにした。
2015年が明けてすぐ、彼は店にやってきた。
年末年始、インフルエンザで寝込んでしまった、
それが不安材料ではあるが、
レースまでの一か月でなんとか調子を戻すつもりだ、
そう彼は言っていた。
百戦錬磨の彼のことだから、レース当日までには、
100%ではなくても可能な限りの
コンディションにまで仕上げてくれるだろう、
そう思っていた。
あの日。
彼が42.195kmのゴールにたどり着いた時、
記録を示すタイマーは「3時間」を「16分」越えていた。
彼は――なぜ、走るのをやめなかったのだろう?
(つづきます)
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