少年たちは、少女たちは、陸上競技に出会えました。 ― 2014年07月22日 19時05分09秒
あれはもう10年以上も前の話だ。
スパイクセットツアーの告知ポスター(イメージ)↓
今年も、少年たちは、少女たちは、陸上競技に出会えました。
ある高校生から電話で砲丸の注文があった。
彼は砲丸投げで全国大会に出場するほどの選手だった。
「砲丸をいつも手元に置いて、その感触を感じていたい」
と彼は言った。だから"マイ砲丸"が欲しいのだと。
彼の競技への姿勢に川見店主は感動した。
「さすが、全国大会へ行く選手の意識は高いものだ」
彼の家は、川見店主がクルマでの帰宅途中に
少し足を伸ばせば寄れる距離にあった。
川見店主は彼のもとに砲丸を届けることにした。
家の近くまで行くと、道路脇で彼は待っていてくれた。
投てき選手らしい大きなカラダで、一目で彼とわかった。
川見店主は、激励の言葉をかけながら彼に砲丸を渡した。
彼は礼儀正しく、そして少し照れくさそうに、砲丸を受け取った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
5年前。5月。
ある中学校の先生からスパイクセットセールの申し込みがあった。
電話で名乗られた先生の名前には聞き覚えがあった。
学校へ訪問した日、僕は先生に聞いてみた。
「先生は高校時代に砲丸投げで全国大会に出場されましたよね?」
「え?ご存知なんですか?」
「数年前、砲丸をご自宅まで届けにいったのは、ウチの店主です」
「あー!そうか!あのお店だったんですね!」
この時、H先生はこの中学校に赴任されて2年目で、
春に陸上部を立ち上げられたばかりだった。
部員7名、小さな小さな陸上部のはじまりだった。
次の年も、その次の年も、
スパイクシューズをクルマに詰め込んで学校へ訪問し、
新入部員のみんなのサイズ合わせを行った。
3年目になると、やっとすべての学年に部員が揃った。
陸上部のみんなには、先輩ができて、後輩ができた。
小さな、けれども立派な陸上部になっていた。
「先生、もう、『普通』に、陸上部ですね」
「ありがとうございます。まだまだですけど、ね」
(3年目の陸上部の話)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そして、今年も。
H先生からスパイクセットセール申し込みのお電話をいただいた。
「赴任先が変わりましてね。
今度の中学校でも、また春から陸上部を立ち上げたんですよ」
当日、学校へ訪問すると40名もの新入部員のみんなが待っていた。
「先生、いきなり40名も入部されたんですか!」
「そうなんですよ。まぁ、でも、これからです(笑)」
この中学校でも、H先生のおかげで、
40人もの子供たちが陸上競技に出会えたのだ。
それは、少年たちの、少女たちの、
40個の生命の可能性が開けたということだ。
一人ひとりの足と向き合いながらサイズを合わせていく。
同行したもうひとりの店のスタッフが、
サイズ合わせを終えた生徒達を集め、
みんなと一緒にスパイクシューズの履き方と脱ぎ方を練習する。
40人すべての生徒の足が僕らの目の前を通っていった頃には、
サイズ合わせをはじめてからとっくに1時間以上が過ぎていた。
最後にみんなは整列し、H先生が声をかける。
H先生:「じゃあ○○さん、号令!」
一番前に並んでいた女の子が、ハイと大きな声で応える。
女の子:「やすめ!きょうつけ!」
みんなの前で、僕らも一緒に、やすめ、きょうつけ。
女の子:「私たちは、今日買ったスパイクシューズを大切にして
これから陸上競技をがんばります。
今日は、私たちのために学校まできてくださって、
ありがとうございました!」
みんな:「ありがとーございましたー!」
深々とお辞儀をしてくれるみんなの姿が微笑ましくって、
僕の頬(ほほ)はニンマリとゆるんでしまいそうになる。
一緒にお辞儀をして顔を伏せながら、
なんとか顔の筋肉に力を入れて、平静を装う努力をする。
顔をあげると、横ではH先生がみんなを見つめていた。
H先生のまなざしはいつものように厳しく、
指導者としての表情を崩されてはいなかった。
けれど、先生の頬も、ちょっとだけゆるんでおられました。
彼は砲丸投げで全国大会に出場するほどの選手だった。
「砲丸をいつも手元に置いて、その感触を感じていたい」
と彼は言った。だから"マイ砲丸"が欲しいのだと。
彼の競技への姿勢に川見店主は感動した。
「さすが、全国大会へ行く選手の意識は高いものだ」
彼の家は、川見店主がクルマでの帰宅途中に
少し足を伸ばせば寄れる距離にあった。
川見店主は彼のもとに砲丸を届けることにした。
家の近くまで行くと、道路脇で彼は待っていてくれた。
投てき選手らしい大きなカラダで、一目で彼とわかった。
川見店主は、激励の言葉をかけながら彼に砲丸を渡した。
彼は礼儀正しく、そして少し照れくさそうに、砲丸を受け取った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
5年前。5月。
ある中学校の先生からスパイクセットセールの申し込みがあった。
電話で名乗られた先生の名前には聞き覚えがあった。
学校へ訪問した日、僕は先生に聞いてみた。
「先生は高校時代に砲丸投げで全国大会に出場されましたよね?」
「え?ご存知なんですか?」
「数年前、砲丸をご自宅まで届けにいったのは、ウチの店主です」
「あー!そうか!あのお店だったんですね!」
この時、H先生はこの中学校に赴任されて2年目で、
春に陸上部を立ち上げられたばかりだった。
部員7名、小さな小さな陸上部のはじまりだった。
次の年も、その次の年も、
スパイクシューズをクルマに詰め込んで学校へ訪問し、
新入部員のみんなのサイズ合わせを行った。
3年目になると、やっとすべての学年に部員が揃った。
陸上部のみんなには、先輩ができて、後輩ができた。
小さな、けれども立派な陸上部になっていた。
「先生、もう、『普通』に、陸上部ですね」
「ありがとうございます。まだまだですけど、ね」
(3年目の陸上部の話)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そして、今年も。
H先生からスパイクセットセール申し込みのお電話をいただいた。
「赴任先が変わりましてね。
今度の中学校でも、また春から陸上部を立ち上げたんですよ」
当日、学校へ訪問すると40名もの新入部員のみんなが待っていた。
「先生、いきなり40名も入部されたんですか!」
「そうなんですよ。まぁ、でも、これからです(笑)」
この中学校でも、H先生のおかげで、
40人もの子供たちが陸上競技に出会えたのだ。
それは、少年たちの、少女たちの、
40個の生命の可能性が開けたということだ。
一人ひとりの足と向き合いながらサイズを合わせていく。
同行したもうひとりの店のスタッフが、
サイズ合わせを終えた生徒達を集め、
みんなと一緒にスパイクシューズの履き方と脱ぎ方を練習する。
40人すべての生徒の足が僕らの目の前を通っていった頃には、
サイズ合わせをはじめてからとっくに1時間以上が過ぎていた。
最後にみんなは整列し、H先生が声をかける。
H先生:「じゃあ○○さん、号令!」
一番前に並んでいた女の子が、ハイと大きな声で応える。
女の子:「やすめ!きょうつけ!」
みんなの前で、僕らも一緒に、やすめ、きょうつけ。
女の子:「私たちは、今日買ったスパイクシューズを大切にして
これから陸上競技をがんばります。
今日は、私たちのために学校まできてくださって、
ありがとうございました!」
みんな:「ありがとーございましたー!」
深々とお辞儀をしてくれるみんなの姿が微笑ましくって、
僕の頬(ほほ)はニンマリとゆるんでしまいそうになる。
一緒にお辞儀をして顔を伏せながら、
なんとか顔の筋肉に力を入れて、平静を装う努力をする。
顔をあげると、横ではH先生がみんなを見つめていた。
H先生のまなざしはいつものように厳しく、
指導者としての表情を崩されてはいなかった。
けれど、先生の頬も、ちょっとだけゆるんでおられました。
スパイクセットツアーの告知ポスター(イメージ)↓
今年も、少年たちは、少女たちは、陸上競技に出会えました。
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